ワークショップによる建物づくり

 ワークショップ(workshop)と聞くと『作業場』、『工房』というイメージが浮かぶかもしれませんが、ここで紹介するワークショップとは『参加・体験型の学習会』を意味します。簡単に言いますと、様々な立場の人たちが集まって、ある目標に向けて公平に意見を出し合いながら意志決定をしていくという参加者全員で行う協働作業のことです。

 たとえば、会社の会議等で何かを決めていこうとしても、上司の前では自分の考え方をはっきり言えない人が多いですよね。しかし、ワークショップではあらかじめ、「人の意見を否定しない」「全員同じ立場にたって発言をする」「多数決で決めない」などいくつかのルールを設けて話し合うので、意見が述べやすくなり、今まで思いつかなかったことを見つけるきっかけにつながります。

 最近では、様々な分野でこのワークショップ手法を取り入れることが注目されてきています。そして、私たちの事務所でも、ワークショップを建物づくり、特に不特定多数の人が利用する建物の新築・改修する際、計画段階で取り入れ、誰にでも使いやすい建物の実現を目指しています。



人にやさしい建物を目指して

 たとえば、住宅を設計するとき、そこに住む家族と何回か打合せをしているうちにそこの家族構成や生活習慣、それぞれの趣味などが見えてきて計画がし易くなり、その結果、家族みんなにとって心地良い住まいの提案ができますよね。

 しかし、住宅より規模の大きい施設(公共施設)の設計になれば、従来は設計者と代表者や役員といった方との打合せだけで、その建物を利用する人やそこで働いている人の声が聞こえてこない場合が多いです。そうなれば建物の利用状況や管理等の面で掴みづらい部分もでてきます。

 もし、計画段階で、その建物を利用する人や、そこで働いている人たちが設計士と共にそれぞれの立場の意見を集約しながら部屋の配置や動線等を考えることができたら、人にやさしく皆にとって利用しやすい建物の提案ができるのではないでしょうか。


従来のやり方           私たちのやり方
      
設計者・代表者のみの打合せ    設計者・代表者・利用者・従業者との
                 話し合いからみんなで計画案を創って
                 いく。



話し合いから芽生える絆

 ワークショップのメリットとして、建物を利用する人の意見や働いている人の声を取り入れるので、利用者側として使いやすい建物、働いている側として仕事しやすい建物という理想な建物の設計に近づけます。

 また、利用する側も働いている側も一緒になって計画に関わっているので愛着のある建物になっていきます。

 そしてその計画が出来上がる頃には、良い人間関係も生まれていることでしょう。


ワークショップのようす


     保育園の建設にて       老人ホームの改修にて

    公民館の建設にて