普段、福祉を意識することは多くはありませんが、決して特別なことではありません。誰もが年齢を重ね、身体的障害、疾患を持つ可能性を持っているからです。
ぜひ読んで下さい。


福祉って?

 広辞苑によると、「福祉」とは「幸福」のことだそうです。まちや建物に関する「福祉=幸福」とは、「住み慣れた地域や住宅で暮らし続ける」ことだと考えます。多くの人はそれを願っていることでしょう。

 現在、少子高齢化が進み、21世紀半ばには65歳以上の高齢者が3人に1人を占めるという「超高齢社会」になることが予想されています。また、家庭における介護の主な担い手は、核家族化の進行に伴い減少しています。このような社会の中において、人から与えられる「福祉=幸福」を待つのではなく、自分自身の問題として「福祉=幸福」を考えるべきだと思いませんか。

 福祉という言葉の持つ意味は、時代と共に変化しています。これまでは障害、疾患を持った人に対して使われることが多かった様ですが、健康な人が将来に渡り、障害、疾患を持たないようにする「予防福祉」といった言葉としても使われています。また、福祉の理念としては「ノーマライゼーション」、「バリアフリー」から「ユニバーサルデザイン」という時代の流れがあります。




福祉と建築

福祉の捉え方が「介護支援」から「自立支援」へと変化しています。これに伴い、介護する、また介護される環境づくりから、住み慣れた地域、住宅で自立した生活を送れるための「まち」や「建物」が求められる様になってきました。ユニバーサルデザイン(「誰もが使いやすいデザイン」などと訳されています)は、自立した生活を支えるためのハードの要素と言えます。バリアフリーのように単に、段差をなくすだけではなく、人の五感から得られる情報、生活するための機器、道具などを誰もが使いやすくすることが、まちや公共性の高い建物に求められています。





自立した生活を送るための建物づくり

 ひとえに「自立した生活」と言っても、障害、疾患の種類、進行状況は人それぞれ異なるため、その人に合った自立の方法を考えなければいけません。住宅に関して言えば、現在障害、疾患を持つ方に関しては、係り付けの医師、作業療法士等を含めた計画づくりが必要だと考えます。また、現在健康な方に関しては、高齢になった時を考慮した間取り、手摺などが将来取り付けられるようにしておくなどの配慮が必要です。

 但し、建物だけで自立した生活を送ることには限界があります。車椅子、ベッド、リフトなど介護機器・器具を適切に配置し使用することは、障害、疾患を持つ方が自立した生活を送るために不可欠であり、建物づくりを行う際にはこれらを考慮する必要があります。

 また、介護保険、障害者保険、高齢者保険、各種補助制度などを利用するとともに、必要のない所に必要の無いものを付けることをしないなど有効な資産運営をすることも重要です。





自立した生活を送るためのまちづくり


 自分に合った、自立した生活を送れる建物が出来たとしても、一日中建物の中に閉じこもっているわけにはいけません。

玄関を出て、まちへ・・・。

 まちには、まだまだいろんな障害があります。平成6年に、国では「ハートビル法」を、愛知県では、「人にやさしいまちづくりの推進に関する条例」を制定し、不特定の人が利用する道路、建物に一定の整備目標をつくりました。これらの成果として、高齢者や障害、疾患を持った人が出掛けやすい環境は徐々に整備されつつあります。しかし、まだ十分ではありません。行き帰りの交通手段・道のり、建物の内部(買い物ならば、店の入り口、通路幅、商品の陳列方法、レジ、駐車場)、トイレなど。これらを出来る限り自分の力でクリアー出来なければ、自立した生活を送れるとは言えませんよね。

 自立した生活を送るためのまちづくりは、これからもさらに進められるべきだと考えます。